人材育トレーナーの太田章代です。
「最近の若手はすぐ辞める」 そんな声を耳にすることがあります。
しかし、退職する若手社員のすべてが仕事に対する意欲が低いわけではありません。むしろ、成長意欲が高く、仕事に真剣に向き合っている優秀な若手ほど、職場に見切りをつけて退職するケースがあります。
では、優秀な若手は何をきっかけに辞めるのでしょうか。
今回は、若手社員のやる気を奪い、退職を考えさせてしまう「上司の口ぐせ」を5つご紹介します。
「昔はもっと厳しかった」
上司世代が苦労した経験を伝えたい気持ちは理解できます。確かに、昔は厳しく指導されたり、ノルマを達成するまで帰れなかったり・・・。今では考えられない労働環境でした。
しかし若手社員からすると、 「だから何ですか?」 と感じてしまうことがあります。
若手社員が知りたいのは過去の話ではなく、「今、自分はどうしたら成長できるのか」です。昔と今では働く環境も価値観も大きく変わっています。
ポイント
過去の苦労話は、部下には響きません。 「次はこうするともっと良くなるよ」 と未来に向けたアドバイスを伝える方が成長につながります。
「常識で考えて」
上司にとっての常識は、若手社員にとっての常識とは限りません。
特に新入社員や若手社員は、社会人経験が少ないため、何が常識なのか分からない状態です。
そこで「常識で考えて」と言われると、
「何が正解なのか分からない」 「質問しづらい」 という気持ちになります。
ポイント
常識という言葉は便利ですが、指導としては曖昧です。 「お客様への返信は24時間以内にしよう」など具体的に伝えることが大切です。
「何度言ったら分かるの?」
この言葉は、相手を追い詰める言葉です。
若手社員も、何度も言われたいと思っていません。 言われた側は、
「自分は能力が低いと思われている」 「これから質問しづらいな」 と感じるようになります。
すると、自信を失くしてしまったり、報告や相談が減り、ミスを隠すようになることもあります。
ポイント
優秀な若手ほど反省しています
本当に必要なのは、改善につながる言葉をかけることです。 「なぜ同じミスが起きたのか考えよう」と一緒に改善策を導き出すことが大切です。
「言い訳しないで」
確かに、言い訳は聞きたくないものです。言い訳をされると、「また言い訳か」と思い「言い訳しないで」と言ってしまいたくなる気持ちはわかります。
しかし、「言い訳」と「言い分」は違います。
言い訳とは、自分の失敗や責任を回避するための説明です。一方、言い分とは、なぜそのような結果になったのかという事実や背景の説明です。
部下が話そうとしている内容を最初から「言い訳」と決めつけてしまうと、本当の原因が見えなくなります。
もちろん、責任転嫁や単なる弁解は認めるべきではありません。 しかし、まずは相手の言い分に耳を傾けることが大切です。
ポイント
「何があったのか教えてください」 「そうなった理由を聞かせてください」
と伝えて、まずは事実を確認し、問題の原因を明確にします
その上で、改善策を一緒に考える姿勢が信頼関係を築きます。
「忙しいから後にして」
「上司がいつも忙しそうにしているので、報連相するタイミングが難しい」 と若手社員から耳にすることがあります。
若手社員が上司に報連相するのは、思っている以上に勇気がいることです。
しかし、そのたびに「忙しい」「後にして」と断られると、だんだん報連相しなくなります。
その結果、大きなミスをしたり、退職につながることもあります。
ポイント
もちろん上司も忙しいでしょう。
だからこそ、 「10分後なら大丈夫だよ」 「午後に時間を取ろう」 と報連相できるタイミングを示してあげることが大切です。
まとめ
この「上司の口ぐせ」は、部下からの信頼を失うこともあります。 もし無意識に使っていたら注意が必要です。
1.昔はもっと厳しかった
2.常識で考えて
3.何度言ったら分かるの?
4.言い訳しないで
5.忙しいから後にして
優秀な若手社員は、給料だけで会社を辞めるわけではありません。
多くの場合、 「成長できない」「認めてもらえない」「人間関係がうまくいかない」 と感じたときに退職を考えます。
若手社員を育てる第一歩は、相手を変えることではなく、自分の言葉を見直すことからはじめましょう。



