その言い方、実はもったいない!職場で迷いやすい敬語7つの場面をプロが添削

こんにちは。人材育成トレーナーの太田章代です。

敬語のルールは学んだはずなのに、依頼を受けるとき、断るとき、謝るときなど、実際の会話では言葉がすぐに出てこない。これは新人や若手社員の多くが経験する悩みです。

この記事では、職場で迷いやすい7つの場面を取り上げ、「望ましい言い方」「望ましくない言い方」を添削します。ただ正解を覚えるのではなく、上司・同僚・取引先との関係やその場の状況に合わせた、自然な言い換えまで紹介します。

読み終えるころには、失礼を恐れて黙ってしまったり、硬すぎる敬語で距離を作ってしまったりせずに、相手に配慮しながら自信を持って返答できるようになりますよ。ぜひ「自分ならどう答えるか」を考えながら読み進めてください。

▼職場のコミュニケーションについて参考記事をご紹介。以下も是非ご覧ください。▼

取引先から打ち合わせの日程変更をお願いされた場面

取引先から急な日程変更の相談を受け、承諾するときの返事です。

申し訳ございません。明日の打ち合わせですが、山田が急遽外出することになってしまいました。こちらの都合で恐縮ですが、日程を変更させていただくことは可能でしょうか。

✕ NG: 「はい、大丈夫です」

◯ OK: 「承知いたしました。それでは、また日程をお知らせいただけますか?」

なぜNGか: 「大丈夫です」はとても便利な言葉ですが、少しラフな話し方です。お客様や上司に対しては失礼にあたる可能性があるため、使わないほうが無難です。今回は「可能でしょうか?」と聞かれているので、承諾するなら「承知いたしました」と答え、あわせて次の日程の確認までするとスムーズです。

ワンポイント:社内でも「大丈夫です」はなるべく控える 主任など身近な上司であれば問題ない場合もありますが、社長など立場が上の方には失礼になる可能性があります。社内でも、なるべく使わないようにしておくと安心です。 一方で、「体は大丈夫ですか?」のように相手を心配する場面では使っても問題ありません。「大丈夫です」が100%間違いというわけではなく、正しい使い方をすれば使ってよい場面もあります。

お客様に書類への記入をお願いする場面

お客様から申し込み書類について尋ねられ、記入をお願いするときの返事です。

申し込みは、どの書類に記入すればいいですか?

◯ OK: 「恐れ入りますが、こちらへご記入いただけますでしょうか」

この言い方でも問題ないです。 「ご記入ください」という言い方も間違いではありませんが、「ください」は命令形なので少しきつい印象になります。「いただけますでしょうか」と疑問形にすることで、相手への配慮が伝わります。

さらに良くする一言
相手に配慮した言い方の基本は「クッション言葉+疑問形」です。この回答は「恐れ入りますが」というクッション言葉と、「いただけますでしょうか?」という疑問形の両方がそろっています。

ワンポイント言い換えは「相手がどう感じるか」で選ぶ
「ご記入お願いいたします」「ご記入くださいませ」も間違いではないので、使って問題ありません。マナーの基本は、相手への思いやりを届けることです。自分が使いたい言葉ではなく、相手がどう感じるかを考えて言葉を選びましょう。

今日中の修正依頼を断る場面

「今日の17時までに」と修正を頼まれたものの、対応できないときの返事です。

この修正、今日の17時までにお願いできますか?

✕ NG: 「今日は対応できません」

◯ OK: 「申し訳ございません。本日は〇〇の仕事を抱えているため、対応いたしかねます。明日の午前中でしたら対応できますが、いかがでしょうか?」

なぜNGか
できないときに断ることはとても重要です。ただし、言い方があります。「できません」とだけ伝えるのではなく、お詫びと理由を添えて「いたしかねます」と伝えます。さらに、断って終わりにせず代替案を示すことで、相手への配慮が伝わります。

ワンポイント:「断る+代替案」はセットで覚える
仕事で断るときは、必ず代替案をつける。これはお客様に対しても、上司に対しても同じです。

商品の未着についてお客様から問い合わせを受けた場面

届く予定の商品が届いていないと、お客様から問い合わせを受けたときの返事です。

本日届く予定の商品がまだ届いていないのですが、いつ届く予定でしょうか。

✕ NG: 「すみません、発送が遅れているかもしれません」

◯ OK: 「申し訳ございません。確認いたしまして、いつ届くか折り返しお電話いたします」

なぜNGか
問題は2つあります。

  • 「すみません」はラフな言葉
    謝罪の気持ちは「申し訳ございません」というビジネス用語で伝えます。
  • 確定していないことを予想で答えている
    「遅れているかもしれません」と推測で伝えると、後で事実が違った場合にお客様からの二重クレームにつながる可能性があります。

わからないことは、誰かに聞いたり確認したりしてから、正しい返事をするようにしましょう。

ワンポイント:その場で全部答えようとしなくていい
新人さんによくあるのが、「自分が全部答えなければ」と思ってその場で適当なことを言い、結局違っていてクレームになってしまうケースです。「確認して折り返します」は、立派な対応です。

上司に頼まれた会議室の予約内容を確認する場面

上司から会議室の予約を頼まれ、利用時間を確認するときの言い方です。

明日11時から、会議室の予約をお願いできるかな。

✕ NG: 「承知いたしました。明日11時から1時間でよろしかったでしょうか」

◯ OK: 「承知いたしました。明日11時から1時間でよろしいでしょうか」

なぜNGか
「よろしかった」は過去形です。今まさに確認している内容に対して使うのは不適切です。現在のことを確認するときは「よろしいでしょうか」と伝えます。

ワンポイント:「よろしかった」が正しい場面もある
たとえば「1か月前に出した提案書、あれでよろしかったですか?」のように、過去のことを確認するときは「よろしかった」で合っています。 なお、「よろしかったでしょうか」が相手に失礼というほどではありません。ただ、正しい言葉遣いを知っている人には違和感を与える言い方です。

電話で担当者が休みだと社外の人に伝える場面

社外からの電話で、取り次ぎを頼まれた担当者が休みだったときの返事です。

営業部の田中さんをお願いします。

◯ OK: 「田中は本日、休みを取っております」

合格ラインです。 言葉遣いとしては正しい言い方です。

さらに良くする一言
「休みを取っております」で終わらせず、「よろしければ、私がご用件を承りましょうか?」「伝言があれば承りますが、いかがでしょうか?」と、その後のことまで考えて伝えると、より良い対応になります。

ワンポイント:社外の人には自社の社員を呼び捨てにする
田中さんが自分の上司であっても、社外の人に対しては「田中さん」ではなく「田中」と呼ぶのが正解です。社長であれ部長であれ、自社の社員は必ず呼び捨てにし、お客様には「様」などの敬称をつけます。

依頼した資料がまだ届かず催促する場面

先週お願いした資料がまだ届かず、相手に急いでほしいと伝えるときの言い方です。

(自分)先週お願いした資料、まだですか? (相手)申し訳ありません。現在確認しています。

✕ NG: 「急いでいるので早くお願いします」

◯ OK: 「お忙しいところ恐縮ですが、業務の都合上、本日15時までにご送付いただけますでしょうか?」

なぜNGか
早くしてほしい気持ちはわかりますが、「急いでいるので早く」は自分本位な言い方です。相手にも予定があります。次の3点を押さえて伝えるのがベストです。

  • クッション言葉を入れる:「お忙しいところ恐縮ですが」
  • 自分の理由を伝える:「業務の都合上」
  • 期限を数字で示す:「早く」ではなく「本日15時までに」と、いつまでに必要かを具体的に伝える

ワンポイント:依頼・お断りにはクッション言葉を挟む
「お忙しいところ恐縮ですが」「恐れ入りますが」「よろしければ」といったクッション言葉をつけることで、依頼やお断りの印象が柔らかくなります。相手への配慮は、まずクッション言葉から始まります。

まとめ:敬語は暗記より「なぜその言い方を選ぶか」

敬語で最も大切なのは、正しい言葉を暗記することではありません。相手への敬意を持ち、その場の状況や相手との関係に合わせて、仕事が円滑に進む伝え方を選ぶことです。

正解の数よりも、「なぜその言い方を選ぶのか」を考えることが大切です。今回迷った場面があれば、ぜひ次の会話で意識して実践してみてくださいね。

今回の記事の要点とチェックポイント

  • 「大丈夫です」は目上の人・お客様には使わず、「承知いたしました」に置き換える
  • 承諾したら、次の日程など「その先の確認」まで添える
  • 依頼は「ください」ではなく「クッション言葉+いただけますでしょうか」
  • 言葉は自分の使いたいものではなく、相手がどう感じるかで選ぶ
  • 断るときは「お詫び+理由+いたしかねます」、そして必ず代替案をつける
  • 謝罪は「すみません」ではなく「申し訳ございません」
  • わからないことは推測で答えず、「確認して折り返します」
  • 今のことを確認するときは「よろしかった」ではなく「よろしいでしょうか」
  • 取り次げないときは「ご用件を承りましょうか?」と次の対応まで申し出る
  • 社外の人には、上司でも自社の社員は呼び捨てにする
  • 催促するときは「クッション言葉+理由+数字の期限+疑問形」
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